歯周内科治療
歯周病を薬でコントロール、最新の歯周病治療『歯周内科治療』
「歯周病を薬でコントロール」と聞かれて、驚かれる方が多いと思います。歯周病治療というと昔から歯磨き指導や歯石を除去する歯の周りのお掃除が基本的治療となり、重度の歯周病の場合、外科処置により治療が進められることが多くあります。これらはどの歯科医院でも広く行われている治療法となります。
歯周病の治療は、歯周病の原因である歯の周りにこびりついた汚れ(細菌の塊)を除去することで、あとはご自身の体の免疫により歯茎の状態の改善が目的とされています。
しかし、これらの基本的治療を行っても、一生懸命歯磨きをして汚れをとっても、なかなか歯肉の炎症がとれず、出血・排膿・口臭等で悩まれている方が多いのも事実です。
歯科治療は歴史的に見て、外科的な処置が中心で内科的な治療が遅れる風潮がありました。しかし、むし歯や歯周病が風邪と同じく感染症であることが解明され、その原因菌が解ってきている今、その原因菌を消滅させることにより、病気を治すということは自然な考え方ではないかと思われます。
「国際歯周内科学研究会 認定医」が対応します
「一般社団法人 国際歯周内科学研究会」とは、歯周内科治療のスペシャリストを育てるべく日々研鑽を行なっている歯科医療団体です。
歯周内科学自体が最先端の歯科医療ということもあり、歯周内科治療自体を行なっていない歯科医院がほとんどの中、当院の院長である明石大輔は、この研究会の認定医の資格を有しております。
また、当院は歯周病原因菌遺伝子診断認定歯科医院ですので、どうぞ安心してお気軽にご相談ください。
まず、歯周病の原因について学ぼう
成人の約8割がかかっているともいわれている歯周病。
日本だけでなく、全世界でもっとも蔓延している感染症としてギネスブックにも登録されています。
▼プラーク(歯垢)の中には1億個以上の細菌が!?
歯の表面に付着するプラーク(汚れ)とは細菌の塊でプラーク1mgの中には1億個以上の細菌が住んでいるといわれています。
この細菌の種類は数百種類あり良い菌(善玉菌)もいれば悪い菌(悪玉菌)もいて、持っている菌の種類や数は人によって違います。
悪玉菌の中でも”レッドコンプレックス”と呼ばれる細菌がいると歯周病のリスクが上がるといわれています。
当院では、歯周病の原因菌がお口の中にいるかどうかを、まずは位相差顕微鏡を使用して確かめます。
ご希望の方はレッドコンプレックスを含む歯周病菌がどのくらいいるかを調べる遺伝子検査をすることが可能です。
歯周病やむし歯はすべて感染症なのです。
これらのお口の中に定着した常在菌は、「バイオフィルム」とよばれるテリトリーをもって住み着き、外来性の細菌の定着を容認しない働きもあります。
▼お口の中にカビ(カンジタ菌)があるってご存知でしたか?
お口の中にカビ(カンジタ菌)がいることを知っている方は少ないと思います。
このカンジタ菌はむし歯や歯周病の原因菌と非常に結びつきが強いといわれています。これを減らすことにより、むし歯や歯周病の原因菌も少なくなると考えられています。
▼歯周病が全身疾患に関係する?(歯原性菌血症について)
歯周病の怖いところは、歯茎が腫れる、歯がぐらぐらして抜けるなどお口の中の問題だけでなく、全身の健康状態にも影響を及ぼすところです。歯茎に歯周病によって炎症があると、血管を通して全身に細菌が運ばれてしまいます。これを歯原性菌血症といい、歯原性菌血症は糖尿病やアルツハイマー病、心臓病、早産など様々なリスクを作ります。
▼歯原性菌血症の原因菌は感染しやすい!!
歯原性菌血症の原因菌の感染力は非常に高く、簡単に人から人へ、また、人から動物へも感染します。ヒトは元々、歯周病原因菌を保菌しておらず、乳児期や幼少期に親のもつ原因菌に感染して、はじめて歯周病原因菌を保菌するようになるということもわかっています。
▼歯周病とアテローム性動脈硬化、糖尿病との関連性を動画で解説
医療メーカーのSUNSTARのホームページに、「歯周病とアテローム性動脈硬化、糖尿病との関連性」というテーマのCGアニメーション動画が掲載されておりますのでご紹介します。
アニメーションで非常にわかりやすいのでぜひご覧ください。
お口の中の歯周病原因菌を調べる「位相差顕微鏡検査」
位相差顕微鏡を使用すれば口内の歯周病の原因となる細菌を生きたままの状態で画面に映し出す事ができ、動画管理システムに記録し、それにより歯周病の原因となっている菌を特定し菌数を確認できます。
それらの微生物に感受性のある薬剤を選択し、微生物叢を改善することで歯周病を内科的にコントロールする治療方法です。術前後の口腔内写真、細菌の映像管理をすることにより、改善がビジュアル的に観察できます。
▼動画で見るお口の中の細菌
リアルタイムPCR法による精密DNA検査
位相差顕微鏡で歯周病原因菌を調べて、本格的に歯周内科治療を始められる患者様は、次にリアルタイムPCR法という精密原因菌検査に移ります。
リアルタイムPCR法とは、熱変性、アニーリング、伸長反応によって目的のDNA領域を増幅させる方法で、PCRによって増幅するDNA領域の量をリアルタイムに測定する歩法がリアウィングPCR法です。
これは言わば、「歯周病原因菌を特定する精密検査」のようなものです。
原因菌の種類、数に応じたお薬を処方
位相差顕微鏡検査によってお口の中の菌の種類、菌数を特定したら、その菌に有効な抗生剤、抗菌剤を処方します。
ご自宅にてそのお薬を服用いただき、口内の歯周病菌を減らしていきます。
もちろん、同時に歯磨きの仕方など、日常のプラークコントロールの方法についてもお教えしますので、それらを併用しながら歯周病を改善します。
歯周内科治療の流れ
まず、ドクターによるカウンセリングを行ったうえで位相差顕微鏡による細菌検査からスタートし、DNA検査を経て、お薬の処方、専用の薬用歯磨きでのホームケア、クリーニングの手順で治療を進めます。痛みはまったくありませんので、どうぞご安心ください。
歯周内科治療によって体感できる実際の効果
歯周内科治療によって得られる効果は下記のようなものがあります。
- 口臭がしなくなる
- 歯磨きの時に出血がなくなる
- 歯がつるつるになる
- 歯肉がピンク色になる
- ネバネバ感が消える
- 歯のつけねのしみる感じが消える
歯周内科のデメリット
- 人によっては適応外の場合があります
- 抗生剤に対してアレルギー反応が出る場合がござます
- 時間、費用がかかる
歯周内科治療のこれから
まだ歴史は浅い療法ですが、これにより今まで救えなかった、歯周病でぐらついている歯が、咬める様になる過程を見て、やはり感染症であり、細菌をコントロールすることが大切であると感じています。
この薬物療法は歯周病治療の全てではなく、1つの効果的な療法です。もちろんブラッシングが不十分な方には、効果が少ないこともありますが、効果的で確実で安全な歯科治療法であると思います。
歯周病の改善を目指すため、日々研究・努力を重ねていきたいと思います。
なかなかコントロールできないと言われている歯周病の治癒を願って。